ぬらりひょんの孫の非公式ファンサイトです。 基本、鴆×夜若の小説ブログになります。 管理人・蜂蜜林檎のつれづれなるままに、 萌えをぶつけていくだけのブログです。 ・鴆×夜若、大プッシュ☆ ・鴆は攻めだぁー! ・夜若は受けだぁー! ・全てのことよ、ドンと来い! な方のみ、ご覧ください。 非難・中傷・荒らし、おことわりです。
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こんばんは!!
蜂蜜です。
・・・・・・・思わず書いた第2弾。
早く祝言を挙げさせたいのに!!
早く結婚した後の
新婚イチャイチャななんやかんやが書きたいのに!!
(いやまて。祝言挙げる前のなんやかんやも書きたい!!)
なんか・・
順を追っていかないと自分でもなにがなんだか。
しばらく文章を書くということをしていなかったので
なんか・・文章に若干の違和感が!!
とにかく、
今回はリクオ様のちょっと辛めな話。
少し暗めのお話なので、
苦手な方は迷わずバックをしてくださいっ!
とかほのめかしてみたりしますが(笑)
ごめんなさいorz
イチャイチャほのぼのが書きたいぃぃぃいー!!
オブラートに包むということが
大変苦手な私ですが。
どうぞ見捨てないでください(笑)
ではでは!!
こんな遠まわしな感じでも
悦いぞ悦いぞー!!
な方は続きを読む。からどうぞっ!!
女の子設定・「淡い桜」 2
『やっと授かった俺の子供。奴良組の未来・・・
せめて、一瞬でも・・・長く。」
奴良組。
三代目になるのであろうその赤ん坊は、
4分の1しかぬらりひょんの血を引かず。
それでもよかった。
皆、手放しでその誕生を喜んだ。
その言葉を聞くまでは。
「奴良組・二代目総大将、俺の娘。
名は・・・『リクオ』。
この子は、今この瞬間から男として生きていかせる。」
なんだかここ数日、具合が悪い。
妙にイライラしてしまって、
昨夜だってせっかく鴆に会いに行ったのに
つまらない仲たがいをしてしまった。
今朝、おかしな夢を見て起きた目覚めは最悪で。
そして時間がたつほどに腹がしくしくと痛む。
顔色が悪いと同級生たちに心配までかけてしまった。
放課後、家にたどり着いたころには部屋にこもって
すぐに眠った。
吐く息が妙に熱くて目が覚めた。
部屋に自分でしいた布団の上で、気がつけば外はもう暗い。
自分の姿は夜の姿に変わっているのに、
腹の痛みは治まるどころかひどくなっている。
痛い。
鈍痛は徐々に腹どころか全身に広がってゆく気がする。
頭が妙に重くて、痛くて。
眩暈がする。
リクオはそっと己を抱きかかえるように起き上がって
部屋の障子を開いた。
たしか、薬の保管部屋に痛み止めがあったはず。
病気なら鴆の所に行くべきだろうがつまらない仲たがいが頭をよぎって、
その考えを否定する、鴆は呼べない。
ふらつく足取りでリクオは廊下を進んだ。
眩暈がひどいせいで時々、柱に手をつかねばとても前へは進めなかった。
保管部屋がこんなに遠く感じたのは初めてだ。
途中の柱に手をついて思わずため息をつけば痛みがふいに増した。
柱に身をよせて、膝が折れそうになったその時、
雪女・・つららが廊下の自分を見つけた。
小走りであわてて自分の下へ駆けつけたつららを見て、
リクオは少し気がゆるんでしまったらしい。
「リクオ様っ!どうなさったんです?お顔の色が・・・」
つららが自分の顔を覗き込む。
学校でもずっと気になっていたリクオの体調。
それがこんなにもひどくなるなんて。
熱でもあるのではないか。そう言って額に触れた冷たい手が心地よかった。
それで・・つい・・言ってしまったのだ。
「つらら・・・はら・・痛い・・・。」
いつもなら何が何でも自分の不調を訴えたりなどしない。
弱みなど見せたくはない。
けれど、妙に心が弱くなっている気がする。
ワケの分からない不安感がリクオにそんなことを言わせた。
「お腹が?なにか、悪い物でも・・リクオ様にそんなものをお出しするなんてこと・・」
おろおろと首をひねるつららの前で、
「あっ!?・・・・。」
リクオが不意に声をあげた。
そして呆然とした表情で自分の足元を見た。
何事かとつららもつられてリクオの足元へ目をやる。
リクオの徐々に、
血に染まってゆく白い足袋。
それは本当に少しずつ、その血の染みが広がってゆく。
リクオがそっと着物のすそをさばいた。
見れば、血は太ももの上から伝い流れ落ちて染みになってゆく。
「・・・なんだ・・これ・・・・・。」
己の血が筋となって自分の足を伝ってゆく。
ケガなどした覚えはないし、
それにこの不思議な感覚は・・?
そうリクオが思った瞬間、つららに腕をつかまれ、
廊下をものすごいスピードで走り行く。
「おっ・・おいっ!?つららっ!?」
つららは黙ってリクオの腕を掴んだまま廊下を走る。
途中、毛倡妓を見つけ何かを耳打ちすると
うなづきあってまた走った。
行き着いたのは女たちの使う、手洗いのある洗面所。
なぜ、こんな所に?
まだ呆然とするリクオにつららはそっと笑いかけ、
リクオの肩に手を置いた。
ゆっくり、ゆっくりと幼子に言い聞かせるように
つららはリクオに告げたのだ。
「リクオ様。それはご病気などではありません。そしてケガでもありません。
リクオ様は『大人』になられたのですよ。それだけなんです。」
「おと・・な・・?」
『大人』になった?自分が?自分はもう『大人』だ。
成人の儀もすまし、こうやって総大将を継いでいる。
リクオの中が疑問でいっぱいになる頃合に、
ちょうど毛倡妓が自分の母を連れ立ってやってきた。
母は自分を見るなり、少し辛そうに笑った。
「リクオ。気分が悪いんでしょう?
初めてのことだもの、辛いわよね。」
自分の頭を撫でる母の手がいつもにまして優しい。
自分の身に何が起きているのか?
そしてそれはなんなのか?
そう、問うたリクオに母・若菜は
「リクオ。それはね。『生理』っていうの。
別の呼び方もあるけれど・・聞いたことはある?」
リクオは黙って首を横にふった。
「『生理』っていうのはね、女の子が女の人になったってことなの。
もう、赤ちゃんが生めるくらいに大人の女の人になりましたって。」
『大人』の『女』?
母は寝物語でも聞かせるように『生理』の簡単な説明をした。
子供を生むための『子宮』
年頃になり、必然として起きる『生理』という現象。
そして、リクオは『少女』から『女性』になったのだという。
話をしながら、足袋を脱ぎ、着替えるのを手伝ってくれて
やさしく足の間から伝う血をぬぐってくれた。
『生理』によっての血が伝うのを止めるために
ナプキンだとか言うものを身につける方法も教えてくれた。
それが終わればめったに着ないパジャマを着せられた。
しばらくは洋装のほうがいいだろう。
そんなことも言い終わったころには、
大丈夫。怖いことなんかないからねといつもの笑顔を見せてくれた。
「ねぇ。リクオ・・このことは皆に伝える?それはリクオが決めていいことよ。」
リクオは小さく「嫌だ。」とだけ答えた。
「分かった。でもね、鴆さんにだけは伝えようね。
病気じゃないけれど、痛み止めとか少し楽になるお薬はお母さんもいつも作ってもらうの。
リクオは今回が生まれて初めてのことだもの。最初が一番苦しくてしんどいから。
今後のためにもちゃんとお話をしておこうね。」
鴆と話ができる・・・そう思えばリクオの気持ちが少し和らいだ。
一時間もたたないうちに鴆はおぼろ車で本家へとやってきた。
いつもなら正門から堂々と入るその男は複雑な顔つきで、
勝手口からそっとリクオの部屋へ案内された。
「リクオ。・・・入るぞ。」
すっと障子にすきまができ、鴆はそこからするりと
横になっているリクオの枕元へと歩み寄った。
横に置いた薬箱からいくつか薬を取り出しながら、
昨夜はすまなかったとリクオに詫びた。
リクオは布団に上体だけを起こし、
黙ったままうつむいて、返事もしない。
けれど、鴆にそれを責めるつもりなどありはしない。
ふと小さくため息をついた鴆はリクオの体をそっと抱き寄せた。
いつもより高い体温、血の気のひいた白い手。
「リクオ。大丈夫だ、心配なんていらない。
俺が・・ずっとそばにいるからよ。」
その言葉を聞いて、リクオの肩がふるえ、ぼろぼろと涙を流した。
震える指で鴆の着物をにぎりしめ、声を漏らすまいと鴆の肩口に唇を押し付ける。
リクオの涙で自分の着物が濡れてゆく感触を覚えながら、
どれだけの我慢をして今に至るのかと、胸が締め付けられる想いだった。
ほんの少し前、リクオは自分に恋心を告げてくれた。
そしてその言葉に鴆は自分の心のうちを全て聞かせて答えた。
恋心を抱いたのは自分が先。
けれど、その時あえてリクオの性にはふれなかった。
リクオはただの『奴良リクオ』として、
自分を好いていると言ってくれたからだ。
鴆とてそれは同じ。
リクオが女であっても男であっても抱いた恋心は変わらない。
それが真実であり、事実だったが、こんなにもすぐにリクオの体に変化が訪れるなど思ってもいなかった。
ひょっとするとリクオが自分に恋心を告げたことが引き金になったのかもしれない。
そんなことを考えたあたりでリクオが小さく自分を呼んだ。
「なんだ?・・リクオ。何が怖い?」
正直なところ、何が怖いかと聞かれても
どう答えればいいか・・リクオは少し悩んで、
「俺は『女』なのか?もう、『男』ではいられないのか?」
全てのことが怖いと思ったが何が一番怖いかと言われればそこだった。
鴆は何も答えず、リクオを抱きしめ、背をやさしく撫で続けている。
「俺は『男』だ。そう思って生きてきて、今だって・・・
なのに、体が・・『女』になった・・なんて・・
じゃあ・・俺はどうしたらいいんだ?」
もし、このまま自分が『女』になってしまったら。
「皆を・・どうやって守ればいい?
もしも、『女』になって皆を守れなくなったら・・俺は・・。」
背負った百鬼を・・人間を・・・どうやって。
すると鴆はリクオの髪をくしゃりと撫で、頬に手をそえて自分の方へと上向かせた。
自分を見る鴆は笑って・・いる?
「リクオよぉ。その何でも背負いこむ癖、なんとかしろよって何度も言ったじゃねえか。
四国の時だってそうだったろ。なにもかもがお前に期待だけをしてるわけじゃねぇ。
隣に並ばせてくれってやつもいる。雪女や本家のやつらなんか、お前を守るって杯かわしたんじゃねぇか。
お前はちゃんと皆を守れてる。これまでも、これからもだ。
だって・・・お前(リクオ)はお前(リクオ)じゃねえか。」
何も守れなくなんてならない。
リクオのその心は何も変わりはしないのだから。
自分を映す赤い瞳に何かが宿った。
それは、とても小さくてささいなことだけれど。
けれどリクオの涙を止めるには十分な。
しばらくの間、リクオの泣きはらした寝顔を見つめていた。
子供の時から何もかわらぬ無邪気な寝顔。
けれど、その寝顔にすら隠し切れぬ『色』があった。
『色』とすら呼んでいけないのかもしれない。
近い言葉というなら、
「恋すると女は綺麗になる。」
などというありふれた言葉だろうか。
鴆は眠るリクオの額に軽く口付けて、
そっと部屋を後にした。
「総大将。少し、よろしいでしょうか。」
鴆が向かったのは初代総大将・ぬらりひょんの居室だった。
入れ。との返答に鴆が障子を開ければそこにいたのは
ぬらりひょんに牛鬼、カラス天狗、木魚達磨の姿まである。
どうやら、話は早く進みそうだ。
鴆はぬらりひょんの前へと進み、カラス天狗が場所を譲る。
「これほどの顔ぶれ・・すでにお聞き及びとは思いますが。」
鴆は少し逡巡し、
「リクオに月のものが始まりました。」
静かに、言葉を続ける。
「リクオはもう、13・・もうすぐ14になろうとしています。
子供はいつか大人になる。
少年は男に、少女は女になる。
成長を・・止めることなどできません。
これ以上、隠しつづけることも不可能でしょう。
俺たち(妖怪)も人間も・・・リクオ自身も。」
ふうと息をついたのはぬらりひょんだった。
「リクオの様子はどうじゃった。」
「・・・・・泣きました。」
一瞬にして部屋の中の空気が張り詰めた。
「声を殺して・・怖いと泣きました。
自分が『女』になってしまえば大切な者達を守れなくなる。
それが・・・怖いと言って泣いて、今はようやく眠ったところです。」
そうか。とつぶやいたのもやはりぬらりひょんだった。
「リクオは『男』として育てなければならなかった。」
重々しく口を開いたのは牛鬼だ。
「さよう。そして、そう生きなければならなかった。」
カラス天狗もそう口にする。
けれど、ここにいる皆、そしてリクオが特に守ろうとした「家族」の妖怪たちは
知っているのだ。なぜ、リクオがそう生きなければならなかったか。
その理由を。本人も知らない、その理由を。
「ぬらりひょん様。」
鴆はまっすぐにぬらりひょんを見つめ、
「どうか・・・ご決断を。」
朝、目が覚めると枕元に鴆がいた。
リクオが寝起きのかすれた声で「鴆くん。」と呼ぶと、
リクオが目覚めたことに気がついたようだ。
おはようと言った鴆の様子がおかしい。
そう思ったがそれを問う前に額に手を添えられ、脈をはかられ。
「リクオ・・気分はどうだ。」
「うん。だいぶ楽になったよ。もう、大丈夫・・」
「リクオ。」
ああ、全てお見通しか。
「・・・・・まだ、お腹痛い。」
「それでいいんだよ。」
薬湯をいれてくるといって部屋から離れたがものの数分で戻ってきた。
これを飲んで今日はおとなしく寝ていろ。
そういう鴆の言葉すらリクオにはすでに子守唄だった。
目が覚めて、様子を聞かれ、
少し量の少ないご飯を食べれば薬湯を渡され、
また眠った。
起きればちょうど日が落ちる時間だった。
障子を通った光がオレンジ色で部屋を満たす。
トクンと心臓の鼓動が聞こえて、次の瞬間には夜の自分。
鴆はたまたま席をはずしていて、それがほっとする反面寂しいと思う。
「!・・・リクオ。起きたのか。」
どうやら夕食を取りにいっていただけらしい。
夕食に箸をつけ始め、玉子焼きがいつもより甘めなことに気がついた。
そういえば今日食べた物は全てリクオの好物ばかりだった。
「リクオ。」
夕食を食べ終えると鴆に声をかけられた・・が妙に複雑な表情をしている。
けれど、どちらかといえば嬉しいという表情なのは読み取れた。
「ぬらりひょん様がお前を呼んでる。
夕食を食べ終えたら部屋に来てほしいってよ。」
?
何を言われるのか検討もつかない。
少しふらつく体を鴆が時々支えてくれて、
ぬらリひょんの部屋へとおもむけば、
そこには祖父だけでなく牛鬼やカラス天狗の姿もある。
「おお。リクオ、来たか。まぁ座れ。」
祖父に言われ、思わず正座をしたリクオだったが
たいしたことじゃない。楽にしろといわれ、少し足を崩した。
「リクオ。お前、今いくつじゃった?」
??
「急になんだよ。13・・だけど。まだ。」
そうか。と答えた祖父がなんだかおかしい。
自分ではないどこかを一瞬見たが、それが仏壇の方向であったことにリクオは気づけなかった。
すると、す。と祖父が自分に頭を下げた。
「リクオ。すまなんだ。」
慌てたのはリクオだ。
自分は確かに総大将だが、初代である祖父が自分に頭をさげるなどあってはならない。
ましてや、部屋の中にいるのは自分だけではないのだ。
「じじいっ!?何あやまって・・!てか別に何も・・」
まぁないとはいいきれない所業はあるけれども規模が違う。
「リクオ。お前を皆にあらためて・・『女』として紹介しようと思う。」
「え?」
一瞬、頭が真っ白になった。
「お前を『男』として育てようと言ったのは鯉伴じゃ。
そして、その決断をさせてしまったのはわしじゃよ。」
狐の呪いに気づいてしまった・・・
それも、愛しい人を失った後に。
そして一つの可能性が出てきてしまった。
愛しい子供が生まれた後に。
男ならば単に添い遂げる女がいなければ子は残せない。
ただ、その恋が実らなければいいだけの話だ。
そして、その恋の相手が人間ならば呪いは発動しなかった。
なら、生まれた子が女なら?
女は自分で子を産める。
ならば、子を産めぬ体にするのがてっとりばやい。
もしリクオの中の妖怪の血と人間の血が人間の血の方が多いという理由で、
リクオを「人間」だと呪いが思ってしまったら?
もしリクオが妖怪を伴侶としたときに、
奪われるべきは「ぬらりひょん」の血を持つ、
子を産むリクオだったなら。
愛しい人を失った、ぬらりひょんと鯉伴は・・
これ以上失いたくないと思ってしまったのだ。
だから、リクオを『男』として育てることにした。
リクオが子を残さなくてもいい。
一分でも一秒でもリクオに生きていてほしかった。
たとえ、「恋」や「女」を奪ってでも。
けれど。
あれだけ恐れていた呪いはリクオ自身が断ち切ってくれた。
もう、何も奪わずともリクオは生きていける。
ましてやそれを叶えてくれたのはリクオ自身なのだから。
もういい。
「お前から『女』としての幸せを奪ってしまったことはどれだけ詫びても足りぬほど。
すまなかったな。せめて、これから先からでも『女』として・・とは言わん。
本来のお前として生きてくれ。」
祖父の口から聞いた初めての話。
けれど、どれもこれも全て。
自分を思ってくれてのことだなんて。
「じじい。頭を上げてくれ。あやまる必要なんてない。
俺は・・・その話を聞いて、まだ親父たちを責める気になんてならねぇよ。
気にしないでくれって簡単だけど、それだけ思ってもらえたなら俺は十分だ。」
まだ、覚悟なんてできないけれど。
「じじいが・・そう言ってくれるなら。
『俺』本来として生きていいと言ってくれるなら。
すぐには・・そりゃ無理だけどよ。
『女』なんだって。自分をちゃんと『女』なんだって認めてやりたい。」
こんな言葉しか今は思いつかないけれど。
「ありがとう。」
そういったリクオはまるで咲きほころびはじめた花の様に笑った。
そしてほんの数日しかたっていない今日。
総会が開かれることになった。
リクオを『紹介』する総会が。
「すぐには無理だっつたのに。」
今日の総会の・・・力のいれようといったら。
祖父から話が行き、本家は大喜び。
すぐにリクオを『女』として!!
なんてはしゃぎはじめ、今日用意されている酒の量は、
それこそ正月並みの量だ。
「リクオ様。」
障子の影からしてつららだろう。
「どうした?なんか用でも・・」
「もちろんですっ!!」
がらっと勢いよく障子が開く。
瞬間、つかれたため息。
「あのー・・・つらら?」
正直、何事なのやら。
「リクオ様。その格好でご出席なさるので?」
「そうだけど?」
リクオが着ているのはいつもの黒の長着。
羽織は・・まあたしかにまだ羽織っていないけれど。
「今夜の総会のお召し物はこちらです。」
つららがとりだしたのは大きめのお盆でそこには着物一式が乗っている。
女物の着物一式が。
「はぁっ!?」
いきなりこれか!!?
「いやいやいや!!無理言うなよ!!そんな着物、着た事も見たことも・・」
「リクオ様。」
つららが静かにそしておごそかに言った。
「これは二代目が、リクオ様のためにご用意された物です。
帯も襦袢も、帯とめだって。着物も特別にと秘密で仕立てられたそうです。
いつか、これをリクオ様が着る日が来るようにと。」
「親父が・・・?」
いつか、自分のために?
そっと着物を手に取り、広げてみる。
そこには白い布地に七色のみごとな桜模様が染め抜かれている。
綺麗だと思った。
着てみたいと思った。
それこそ生まれて初めての感情。
つららに手伝ってもらって、
それでも着替えるのに二時間かかって。
総会が始まり、リクオは名を呼ばれるまで戸の向こうで待っていた。
自分を包む桜の着物ががんばれと言ってくれている。
祖父が自分の名を呼んだ。
広間に入った瞬間のどよめきはあきらかに感嘆の声で。
それに気づくこともできなかったけれど。
リクオの髪の一房に揺れているかんざしが、
実は、幼い鴆がリクオに送ったものだと知るのは、
まだまだ先の話だったりする。